製造業は好奇心のかたまりであるが古典的すぎる仕事の進め方をDXで革新すべき

ノウハウや知識を受け継いでいくことは特に技(わざ)の伝承にて語られることが多い。腕一本でものづくりを行なっている人達がいる。創業100年を超える企業が日本にはたくさんある。この企業は、腕一本で創業者が事業を興し、弛まぬ努力の積み重ねで継続していることは疑いのない事実である。

 一方、日本には多くの企業があるが、それぞれの企業はノウハウや知識を受け継ぐことができているのだろうか。利益優先で、事業をズバッと切り捨て、開拓するのもやむを得ない時もあろう。しかし、そのような状況でない中でも、日常的にノウハウや知識を受け継ぐことができているだろうかと思っている。
このノウハウや知識は企業の事業内容によって特別な固有のものも多いが、一般的なことも相当あると思う。知らないのは自分達だけではないかと心配して業務に接することが一番安心な心構えであろう。

 一番、ノウハウや知識を受け継いでいく良い方法は話しをしながら、作り方を見せながら体得する方法であることは昔から変わらない。最近は動画がいっぱい無料で配信されていて、これでも十分だと思うこともある。しかし、時々、なぜなのかと質問したくなることにも遭遇する。この時のなぜは人によって、深さや範囲は異なる。しかし、分かると言うことも人ににより異なる。分かったつもりのように、どこまで分かっているのかと心配なこともある。

 小生も分かっていないことばかりに直面し、いつも頭を抱えているのである。私達人間は知りたいと言う好奇心は際限のないことであり、人によって、その優先順序や重要性がまちまちなだけなのだと思う。したがって、他者に強制もできないし、次から次へと沸き起こる疑問は、もはや、他の人からはどうにもコントロールもできないことなのである。

 インターネットで動画による解説を聞いても、それだけでは十分に満足できない。先輩から話を聞いても、疑問は全ては解決しない。大学の研究者のように、分からないことを明らかにしたいのは人間の本質である。企業の中においては、その知りたい行動を、組織や自分の役割というタガで、それ以上の行動の制限をかけているのである。このタガが、今、一番成長や創造性や生産性に良くない影響を出している。若い人の柔軟性を管理者がタガをはめて、窮屈な思考の場にしてしまっている。

 このような好奇心という人の性に対し、知りたいことや知り得たことをメモするなんらかの構造的な方式が欲しくなる。単なる断片的に孤立化したメモではなく、知りたいことと、知ったことを都度適切な場所に記録する方法である。そして、それは、他者が知りたい、知ったことを記録できる共有の場所でなければならない。既存の方法では答えがないのである。
もし、このようなことが可能になれば、追加も自由で、蓄積型の知識の記録方式になる。それこそノウハウや知識を受け継いでいけるはずだ。これが特徴点記述式と呼んでいる私の方式である。

製造業のコミュニケーション基盤としてのCKWEB2開発の背景

メモの方法の進化と停滞

メモの方法がノートからカードシステムへ。ノートからパソコンに変化してきた。この間に忘れ去られた思想がある。それはアイデアをどのように成長させるかについての工夫と機能である。 
 
 PCへの記録には、アプリケーションと呼ぶ、やっかいなものが介在している。ノートならなかったこの制約。ましてやカードシステムになり切れないソフトウエアなのである。

 このようなことで創造力が発揮されたり、成長させたりできるとは思えない。メモの組み直しができないのである。これしかないように強制されたこれらのことに反発してしまうのは私だけだろうか?

メモの置き場が分散化される乱立するクラウドサービス

 更にクラウドサービスが拍車をかけている。メモの保存先を勝手に変えてしまうのである。私は昔からMacが好きである。しかし、仕事はWindowsである。仕事がWindowsになってしまうと面倒で仕方ない。どちらでも良いようになぜならないのだろうか。本来共通性と守るべきことが無視され、システムの技術的競争にユーザーの利便性を低下させている。キャビネットである保管先まで、クラウドに自動で分けられ、アイデアを整理する上位概念での分類ができなくなっている。ローカルなPCや記録装置にデータを置くのは外出時に仕事ができない。

 みなさんはどうでしょうか。個人の知的好奇心の結果が仕事の成果にもつながるようにならねばいけないと思うのであるが、仕事と個人とで使うアプリが異なるのは困るのである。
個人の興味と仕事の選択をする人が増えている時代となってきて、そうならねば人生が面白くないはずだ。

弊社がCKWEB2を開発した理由がここにある

 書いている間に忘れそうで必死に書く。湧き出る水を飲まなければ溢れ出す心配。
個人と仕事をツールで分けられたら、思考が二重になってしまう。
メモには文書だけでなく、写真や絵や動画やいろいろなデジタルデータがある。それらを『くる』必要があるのである。

 いろいろな単発メモを検索して新しい発見ができなければ、蓄積したデータが価値をなさない。それを検索でとシステム屋は言うだろうが、検索結果が意図しないことを多く含んでいたならば、価値は半減する。必要十分な結果を出現させる方法を考えて欲しいものだ。それはシステム屋という職業の範囲を超えているのではないだろうか。

 記録や蓄積するだけではなく、データを活用する事を意識するならば、記録の方法から考え直さないといけない。デジタルトランスフォーメーションDXは企業の中での問題以前に、個人のDXが行われないと生産性は向上しないように思う。

現在のメモアプリ(知識の記録方式)の問題点

システム手帳を使い出して何十年も経過し、携帯のメモアプリやスマホにメモを書くことも、かなり早くから始めてきたのであるが、未だにシステム手帳も使っている。システム手帳の使う場面は、会議の時だけになっている。どうしても、キーボードを打ちながらでは、会議に集中できないからがその理由である。ブラインドタッチでも、会議は絶対に紙にメモを書くことにしている。そもそも、私は、会議中にパソコンに打ち込んでいながら、仕事をするのは、考えることに集中せず相手に失礼だと思っているのである。

 では、手書きメモをどうしているかと言えば、改めてデジタルのデータにすることはしていない。つまり、システム手帳は会議録専用にしているのである。これが一番自分には効率的だと思っている。

 さて、スマホに記録したメモはどう扱っているのかと言えば、これも用途に分けている。プレゼンのネタを思いついた時には、keynoteにメモして、それを見ながら、別のkeynoteファイルにプレゼンを記載している。投稿や出版のネタは、pages にメモしている。Windowsなら、PowerPointとword ソフトである。


 
 numbersなどの表アプリは使っていない。表は思考のプロセスの随分と後の手続きに必要にはなるだけのことであるからだ。その他のメモは、メモアプリを使っている。自分なりに、メモの種別によって使うアプリを変えている。ゆくゆく絵を挿入するからkeynoteへ、メモを成長させて文章化していくものはpagesへ、断片的な自分だけの記録はメモを使うのが一番しっくりしている。本当は、どのように種別でも、一つのアプリで済ませたいのであるが、それができないのが歯痒い。

 このように、その後の発展活用用途に分けてメモの場所を変えてはいるが、どうしても、アプリを超えてメモを再整理する必要がある。それも結構な頻度で行っている。結局、カードシステムのようなことをパソコンの上で、行っているのである。これが大変面倒なのである。記録することに偏り、データを使うことへの機能開発が不足している。カードシステムよりも良い点は、コピペすれば、オリジナルな場所のメモは消えていない点である。すると、このようにアプリを超えたメモをどんなアプリに集合させるのが良いのかを探す必要があり、いろいろ試しているが推薦できるものがない。

 そもそも、全てを行えるアプリを開発していただけないかと願うばかりである。パソコンが生まれて以来、これらのアプリを受け入れ、その上で仕事をしてきてしまったことから転換することは容易でない。仕事の細部手続きの中に、アプリが特定され埋め込まれてしまっている。だから、そのような統一的アプリにチャレンジする人がいないのかもしれない。

 人が考えることを行う場合、紙と鉛筆が基本であった。そこに、アプリと言う機能を限定した考えを持ち込んでしまった上に機能の競争になり、多種多様なアプリ乱立の状態になってしまったのである。私は、紙のカードシステムの軽快性と可視化性の上にパソコンの記憶力と検索力が知識の記録方式の基本であると考えている。その上で、枝葉である機能を作り直してみたいと思っている。

製造業のデザインレビューに準備すべき大きな2つの情報共有

組立の工程設計には部品の組立順序の情報化によりデザインレビューの価値が出る

設計とのデザインレビューの際に、生産側の視点には生産の加工工程の順序がある。特に多くの部品点数を扱う工程である組立にはこの順序は重要なチェックポイントである。組立生産ラインの部品組立順序は、知識としては複雑な要素を考慮した結果として決定されているものである。その要素と考え方は外部からは想像できないものとなっている。企業によっても異なるものである。これらの要素と考え方はどこから見つけることができるかを説明していく。

 製品の設計者は機能をどのような理屈によって、その部品構造をどうすべきかを考える。この時に、組立の結合構造を考え、それによって、設計的な組立順序が決定される。この決定プロセスは大変重要であり、この順序を決定することになる結合構造や部品分割の範囲に対して生産側が生産ラインの効率性の観点から適切な意見を述べる必要がある。
 
 実はこのプロセスが機能していないものづくり企業が結構多くあるのである。このような企業は当然後日に生産性問題により、設計変更が多く発生し、しかも、設計はほとんど終了まじかでの設計変更であるために、設計的なコストアップと品質の信頼性についての不安を持つような対応可能な範囲での設計変更となってしまう。このことが問題なのである。設計者も納得した最良の構造にならないことを実施することになるのである。

加工工程の工程能力の共有化もデザインレビューには必須である。

 部品組立順序の他にも、品質を守るための加工精度とそれを実現するための方法なども一緒にデジタルレビューの段階で検討されなければならない。このような検討を行った結果として製品の構造が決定されるのである。したがって、製品の横並び構造が過去から整理されていれば、良否の判断と根拠も社内での合意が取りやすくなることは想像できると思う。

後の人の為に、当事者がどのような技術や知識を残せるかを考えて仕事をすること。

 人の仕事は結論だけが記録される。それも、ある一面的な範囲の中で議論されやすい。エンジニアの仕事は、このような習慣の中から進歩していないのではなかろうか。何年も何年も、なぜこのような問題に対して、手法が発見されないのであろうか。人は自分のためではなく、後世の人のために、何を残せるかをいつも考えなければいけない。企業の中の知的創造においても、同じことなであるが、残念ながら、そのような習慣にはなっていない企業が見受けられる。

 それは私達の考える方法についての興味や関心の無さにあるように思う。日本には多くのものづくり企業が存在している。考える方法についての出版物もあまり見たことがない。50年間くらい進歩が無いように思うのは私だけではないだろう。知的生産の技術に書かれていること以上の手法を是非教えていただきたいものだ。

製造業のデザインレビューには製品構造の横並び比較システムが必要である。

製造業のデザインレビューで成功する為には

デザインレビューはどんな観点で問題意識を持つかということは個人によって違いがあることを否めない。個人が保有した経験差が顕著にあらわれるものである。問題点はなぜ、そのことが問題であるのかということを説明し合うと差が良く分かるものである。製品開発におけデザインレビューをより継続的な共通の判断に持ち込むためには、製品の構造比較を整備する必要がある。

 製品のデザインレビューを行う生産側の担当の頭には何が固定概念としてあるのかを知っていなければならない。それは、製品を生産する予定の生産ラインの条件が頭にあるはずである。確かにその製品検討は、その製品をそのライン投入する為の仕事であり、その仕事をするように命令を受けて参加しているのであり、仕方がないことである。

 しかし、仮に、他にも生産ラインがあり、違う製品もあるならば、自分が気づいた問題点は、企業の共通の問題なのか、それとも担当する生産ラインの固有の問題点であるかを意識しなければならない。複数の生産ラインを保有する企業では、このような生産ライン固有の問題点だけをデザインレビューで行う傾向がある。
 

製造業は部品種類抑制し、構造の種類によるデザインレビューでの判断を複雑化しないこと


 企業の中でもう一つの問題は部品の種類増加である。部品種類増加は、生産の複雑化だけではなく、製品の交換パーツのサービス維持など、長期にその加工のために型がどんどん増えていく。置き場に困りスタッカークレーンなどを設置するならば、これは何かおかしいなと思わなければならない。

 製品の構成部品に似て非なる部品がどんどん増えてしまうのは、1つには、設計者の共通化の意識の不足もあれば、2つには、生産側の問題点の認識が固有の生産ラインのことだけを考えていることにもよって、部品の種類が増加していることも承知すべきことである。

 設計は特定の製品を長期に担当することもあり、その製品については熟知することになる。しかし、他の製品はよく分からないということになる。

 生産側は、多品種生産が通例であれば、いくつもの製品の構造を理解する必要があり、製品構造に関する知識は設計者よりも種類については良く知り得る立場になる。

 このように知り得る知識の範囲が縦と横のようの大きく異なる組織が、共通の意識を持って製品の設計が行うことができなければ、企業内に無駄な部品種類を増加させることになってしまうという事を理解しなければならない。

製品構造の横並び比較システムで構造検討を正しく行う

 このことを解決するためには、製品の横並び比較表を整備することが良い。企業内の製品を、1つの製品タイプ内の全製品を主たる構成部品ごとに横並び比較が行えるようにビジュアルに整理することが大事である。横軸は製品のバリエーションであり,縦軸は主たる構成部品が並ぶ。このセルに部品の構造をビジュアルに登録するのである。そして、この表に対して、製品が追加されるたびに横並び列を増やしていけば良いのである。
 

このようにすることで過去の製品の構造知識から最新製品の構造知識を誰もが知ることのできる環境が整うことになるのである。製品開発における知識の記録方式には、以上のような比較が可能にならなければ、単にコンピュータにデータをためるだけのシステムになってしまうだろう。