製造業のデザインレビューの目的は潜在的問題点を顕在化し、関係組織にて解決し経営指標を高めることにある。

サプライチェーンの中の潜在的問題点の顕在化

仕事は問題と対策の繰返しである。計画通りに進まないのが当たり前。しかし、同じ間違いを繰り返す事は避けたい。デザインレビューを例に問題点管理の重要性と知識の記録との関係を説明する。
 デザインレビューで気づいたことは、その対象である設計図面のイメージ図に特徴点記録方式によって記録する。例えば、部品と部品との隙間を設計者は1mm で図面を作成したとしよう。2つの部品は、板厚0.7mmのプレス品としよう。さて、生産側はこの隙間を適切な寸法と考えるかどうかという視点が必要だ。それには、設計として1mmの隙間をどの位の公差で製品化したいのかを確認する必要がある。仮に、1±0.5mmなら、生産側は、バラツキをこの公差内に抑えることができるかどうかという判断が必要になる。
 生産側はどのような加工法を現在行なっているのかを知っていないといけない。更に、その加工法における工程能力も把握していないといけない。知っているからこそ、問題だと言えるのである。
 このように、ものづくりのサプライチェーンの中には、膨大なものづくりの知識が存在している。その加工工程を知っているのかどうかはデザインレビューにおける気づきの有無に影響する。ものづくりの知識は現場での体験によって記憶に留められるものだ。座学では、感覚は身につかない。しかし、全ての人がサプライチェーンの中の全ての現場を体験できることなど不可能である。会社も組織も機能分担されているために、そのような体験ができる事はあり得ないことである。

デザインレビューを通じて周知を結集し、経験を共有することができる


 そこでどのように擬似体験を行うことができるかを考える必要がでてくる。人は成長してながら、後任にバトンを渡さないと社会は成長していかない。これまでバトンを渡さない企業を何社も見てきたが、すべからく進歩の無い硬直化した組織であった。
 人は突然と何かを思い出して生きているように思う。それは新聞を読んでいたり、小説を読んでいる時や、絵画を眺めているとき、遠くを見ているとき、人にあった時、などいろいろな場面で起こりうる。その時には、目に見えた絵と結合しているように思う。だから、嗚呼、どこかで見たなあ、あの人とそうだ鈴木さんと、渋谷の駅でばったりと会って、懐かしい学生時代の部活の話をしたなあ、嗚呼、そうだ今、中村くんはどうしているかな?など、芋づるのように思い出が湧き上がってくることがある。この状態を知識の繭の糸を紡ぐと表現している。
 製品の図面を見ても、嗚呼、あんな失敗をして生産が品質不安定で苦労したなあ、、と問題点と対策が繭の糸を紡ぐように脳裏に浮かび上ってきて欲しいのである。

問題点は膨張するビックデータである。真っ先にDXで取り組むべきシステム化。


 このようにするには、図面と一体に問題点を記録するビジュアルな方法が周辺の部品の関係などからも、過去の記憶を呼び出せる。そして、そのような失敗を問題点として皆が記録すれば、他者の失敗にも具体的なこととして、理解でき記憶に留めることができようになる。失敗を個人の記録として解決できたら一件落着とするのではなく、未来のバトン渡しのために、発生した問題点をその失敗事例のイメージ図の中に記録させるckweb2 による問題点管理はマネジャーの役割だと考える。

製造業のデザインレビュー業務を効率化するツール:CKWEB2

デザインレビューは企業の技術判断のレベルを顕在化させる

デザインレビューはものづくり企業では一般的な取組みである。製品を開発する場面で用いられることが多いが、それ以外でも、設計とで製造着手の前に行われることも多い。今回は、製品設計の場面での知識の記録方式について記述する。

 製品設計図をデザインレビューする目的は、機能、品質、原価、デザイン、販売、サービスなど企業の多くの組織に存在する。その中でも、やはり生産側のニーズが大きい。どんな図面を描いても製造することができないようではどうにもならない。したがって、設計構想などの手戻りの少ない段階でのデザインレビューが有効である。図面が完成した段階ではデザインレビューの意味が無い。試作図という段階を持つ製品の場合は、当然、試作図が完成する前で行う必要がある。デザインレビューの失敗は、設計側の情報の出し惜しみと生産側の作る技術の曖昧さ、設計と生産との組織的信頼関係の無さによることが多い。

設計と生産部門の技術知識の相互理解がデザインレビューを成功に導く

生産側の立場では、デザインレビューをし初めて直面することがある。それは設計図を見て何を発言すべきか、その意見は正しいのであろうか、設計者に折角の図面を修正してもらう意味のある提案なのだろうかということに不安を持つはずだ。この仕事はベテランでなければ務まらないもので、生産の知識が不足している年上の管理者では遂行できない業務だと思う。
設計者は創造性を発揮して、製品機能を中心に検討し図面を描く。出図日程も原価目標も決まっている。時間との戦いの中にいる。一方、生産側は鋳造、鍛造、機械加工、塗装、溶接、組立などものづくりを素材から完成までのエンジニアリングを少なくともその製品について短期間に広い範囲で検討しなければならない。
まず、限られた期間の中で、生産側の安全、品質、コストに関する確認を終え、更に、その対策案を具体的に提示しなければいけない。従来は、そのやり方はチーム内でそれぞれが紙にリスト化したものを、重複、提案、却下、保留などに分ける。保留とはチーム内で合意できなかった事で、事実の確認などを生産現場で行うものである。これらを、整理した上で設計者と打ち合わせを行うのである。このようにデザインレビューは、意見調整、事例の調査、日程調整、対立意見の調整など、人のコミュニケーションを必要とする多くの工数がかかる方法であった。

デザインレビューと技術知識の共有は車の両輪である


この仕事はckweb2 に最適で、チームが同じ図(イメージ図)に特徴点を書き込むだけである。これにより重複は未然に防止できる。また、他者の意見も画面に見えるために、その場で調整が可能となる。チームで合意したデータは設計者に開放し、打ち合わせの前に図を見ながら理解してもらう。その結果をckweb2 にイメージ図の中に特徴点記録する。すると、個人が保有していた知識が記録され、他者の知識を共有できるようになるのである。テレワーク、海外とのデザインレビューにも最適だ。

遠隔地医療における安心なコミュニケーション手段の革新とCKWEB2

遠隔地医療における誤解やミスのでないカルテの必要性

遠隔医療はどこまで進んでいるのだろうか。プライバシの問題から、進みにくいのだろうか?もっと別な理由で一般的な新規参入が難しいのではないだろうか?この問題はさておき、私達の自身の健康状態についての情報はもっと蓄積活用されるべきと考えている。
 持病のある人は転居し、医者にかかる度に再検査を繰り返される。患者の心配毎は、今までの医療措置は適切だったのだろうかということである。実際、小生も、もっとその手術の前に受診をしていただいていたら、違う結果になっていたと思いますよと医者から言われたことがある。
 セカンドオピニオンの意見は、もっと広く知ることができないだろうかという希望もある。  
 MRIの結果も転院のたびに取り直し、再度の撮影は仕方ない事であろうが、過去のMRIの結果とも比較して説明して欲しいと思った。医者がMRIやレントゲン写真に対して、病巣と認識した場所に特徴点を設定し、そこにカルテを書き込めば良い。それが時系列で比較判定すれば、病気の進行度や他の場所での転移などは一目瞭然となる。それが、ある医者での情報だけでは折角のこれ以前の医療診察行為が効果的でなくなってしまっている。
 医者の仕事は病状の把握と知識と判断の正しさだと思う。やはり経験の多さは必要で、そうは言っても、経験不足の人にも正しい判断をしていただきたい。人命に関わる重要な役割なのであるから、一番に、医療知識データベースを進化させるべきだと思う。
病状はいくつも現れる。その中から疑われる病名も複数ある。病状が現れる前の生活スタイルや事故なども要因の1つとして考えるであろう。このような場合に、正しい判断を支援するシステムがあれば良いが、それには、個人のこれまでの健康、医療情報が蓄積されている必要がある。
 その時のためだけの記録ばかりであるが、仮にそれらが蓄積されていたならば、どのようなことが新しい可能となるかを考えるべきである。結局は、用いる言葉など文章表現が自由に行われる記録に対して、必要なこと、知りたいことを記録して検索する方法が必要になってくる。

現物映像と観察対象部位と診断の一体的なデータ管理の実現へ


 私は知識の記録方式を研究する中で、検索そのものに難しい方法を採用しても、その結果に満足は得られないだろうとの立場に立っている。詳細な分類=言葉の定義は万人の記憶として共通にはならない。万人が記憶できる範囲に言葉の定義は限定的であるべきだ。もう一つの視点は、記録する時の方法が重要であるということ。一つファイルとして独立した記述は人が思考していることとは異なるものである。人の思考の一部分だけを切り出して文書ファイルに記載しただけの記述は、他者からwhyが読み取れない。そこまで丁寧に書くことは非効率であるから書かれることは少ないのは当然である。
 ckweb2システムの特徴点による多重関係性とその理由の記述の方式は、過去の他者や自分の知識の上に関連させる方式のため、あらゆる意見や診断を排除せずに記録されるメリットがある。何よりも知りたいことの検索がビジュアルに検索範囲を外側から絞り込む方法であることもメリットであると考えている。

製造業のコミュニケーション手段の革新の必要性

CKWEB2開発の必要性を感じた経験

ある時、都内の喫茶店で打ち合わせを行う男女を見た。隣にいた彼らは、どうやら服のデザイナとそれの仕立てを行う人達だった。2人は頭を突き合わせるようにして、テーブルの上の書類を眺めながら話をしていた。指でその書類のある箇所を指し示しながら、糸の太さや質は何が良いかをデザインと作り手が意見調整している様子だった。私は横目でその様子を眺めながら、ckweb2 のアイデアを着想したのである。
  実際この仕事をインターネットで行うには、デザイナは自分のデザイン図と参考になるような実際の服、その色を伝える参考色や質感の服の写真などをイメージ図に登録をしておく。仕立てる側は、保有する生地のサンプル写真と質感の分かる拡大図、糸のサンプルと縫い方の実例の図などと型紙をイメージ図として登録しておく。     
 デザインする人は、仕立ての人が登録したイメージ図を参考に自身のデザイン図に特徴点を配置しながら、アイデアや希望を仕立て者の登録したイメージ図に実際に参照登録しながら伝達する。
 仕立てをする人は、デザイナーがどこを、どのような生地や糸で仕立てを希望しているかが具体的に指し示される為に、仕立て側の意見を、デザインのイメージ図の特徴点に追加、或いは他の特徴点を設定しながら、意見を登録することで、双方の意見交換を、スムーズに誤解なく、詳細に行うことができるようになる。

 そして、このような方式で仕事を繰り返すと、自己のデザインと仕立ての記録が蓄積される。しかも、服のデザインや仕立て方を形や生地や糸などで横断的に検索することが可能となり、最終納品までの、コスト調整の議論や納期調整の詳細など、実際にこの仕事を担当した者でしか体得しない知識を誰でも知ることができる業務の環境になる。これにより、企業或いは個人でも、圧倒的に適切な仕事が効率的に行えるようになる。

製造業の生産性向上の肝は対面業務の廃止から

実際、社会ではこのように面対して行う業務が普通であった。実際に人と会わないと、仕事が上手く進まないと思い込んできた。海外と仕事する場合には、事前に出来る限りの確認と調整を行っているにも関わらず。国内だと、まず先に面会する。このような癖をもうやめなければならない。それは新コロナで俄かに必要性が言われ始めたが、本来、ITの進展と共に、ネットワークを介したビジネスが主流のやり方になっていなければならなかったことだ。どのようにネットワークを介して、それぞれの企業の仕事が可能にすることができるかを、社会全体として考えて対応する必要がある。

製造業における写真の活用と知識の蓄積の例

デザイン性や部品の構造などの現物写真の蓄積

写真の整理方法は大変重要だと思う。見た時をそのまま、記録するからである。動画も同じく重要である。月日が流れると撮影した時とは様子が変化している。欲しい写真を一発で見つけることができなければならない。写真を撮影した時に感じたことがあるから、その風景や対象を選んだはずである。しかし、私達は写真という絵だけしか、その時に記録していない。これが問題である。

 撮影者が思い感じたことを明確に記録することは、後の考えの整理に役立つ。そこで写真についても、そのイメージ図に対し、どこが良かったのかなどを特徴点を書き込んで、感じたことを記録する。それは、撮影以後、どのタイミングでも、改めての感想も含めて、1枚の写真になるべくたくさん特徴点を登録する。

特徴点についての説明はこちらからご覧ください


 写真には、山や川、森、草花、人、動物、乗り物、雲もあれば、家の中にある家具、照明、インテリアなどもある。一度、旅行に出かけるといろいろな対象を写真で撮影することになる。例えば、10年間、暇を見つけてカメラを持って出歩いたとすると、撮影した写真をグループ分けして整理したくなる。時間軸だけで分類されるのでは知的好奇心が収まらない。自分の思いや感動などで、グループ分けすると、自分の本当の興味に気付けるかも知れない。

気づきの記録は写真と一体化した特徴点記述法が優れている


 また、ある写真の特徴点と他の特徴点との関係に親子関係や参照関係が見つかるかも知れない。かつて南方熊楠先生の研究はこのような地道の整理の上になし得た研究成果であった。今日のIT技術は、曖昧な推定だけで行うことだけでは不安があり、もっと確定的情報が必要であり、人の知識を少しだけでもイメージ図に加えておくだけで、新しい検索方法を開発できるのである。使う人の意図に合わせた検索結果が必要なのであり、それによってファイルサーバに眠ったダークデータを掘り起こして、新しい着眼点が発見できるようになる。もの書きをするクリエイタには最良な方式である。 

 また、ものを対象として撮影した場合、そのものからの気づきには、周囲にあるものや人など写っている絵とその位置関係から受け取るものもある。したがって、時刻の経過、年月の経過により、撮影した対象の変化もあるが、周囲の変化もあるものである。写真は対象のものを周囲のものや人の数や位置関係やその他の状況の組合せの結果として構成されており、その結果としての考えや気づきや感動などを作り出していることも多いのである。
 写真が工場内、店舗内、倉庫などの場合には、生産管理上の有益なデータとなる。それは、その写真に写っている物が、同時刻に同じ場所に存在したことを示していることになる。写真の中に何があるかが分かれば、それらが計画に対して、正しいのかどうかを判断できるようになる。

製品の検査工程での活用方法

 また、製品の検査は、まだまだ人による目視であることが多いが、検査にて写真を撮ることを併用すると、人の判断と写真の比較により、判断のミスが起こりやすい事例を蓄積できる。その対策により検査の信頼性を向上させることにもつながるはずだ。特徴点として事前に、確認すべきポイントをスマートグラスなどで、視野内に情報と目の前の物を重ねて見ることで、人の判断を支援するシステムも作ることができる。目で捉えた対象が人の思考の出発点であり、見た対象と考えたことを一体で蓄積することが既存の文書などのファイルを活用する方法であると考えている。